ロシアとウクライナの農業を取り巻く政治経済的環境の比較:権力の中心化と脱中心化
- ここ数年ロシアでは、政府が「非友好国」とみなす西側諸国の資本によって作られた農業ホールディングや食品企業を、ロシア政府が接収するといった事態が生じています。ただしこのことは、単に西側諸国から科せられる制裁への報復というよりも、国内経済の資産配分を望ましい状態にするための、政府による強硬な姿勢を示していると言えます。実際的な農業政策においても、ロシアでは種子から土地、農薬、収穫物にいたるまで、互いに紐づけされる電子情報システムの構築が進められていることからもうかがえるように、中央の政府があらゆる方面で情報を統括し、制御するための権力の中心化が加速されています。
表 ロシアの農業・食品関連企業資産の移動状況 
*注.ルセルコについては買い手がつかず、2025年8月に解体 - 一方ウクライナでは、西側からの援助や融資を積極的に受け入れると同時に、そうした融資を提供する国際金融機関から構造調整プログラムの遂行を強く求められています。行政においては、不要な規制制度を見直して規制緩和が促進されるとともに、業務合理化を目的とした行政区分の統廃合が盛んに行われています。また農業の問題に関しては、土地や水利施設の民営化が進められ、作物についても輸出志向の大企業の利益が優先されるなど、小さな政府と脱中心化の傾向が顕著になっています。
- 中央政府がますます大きな権力を握って統率力を強めるロシアと、中央政府の機能を縮小して民営化を推し進めるウクライナでは、農業と農業政策をめぐる状況がきわめて明確な対照をなしていることが分かります。しかし、前者の巨大化した権力のもとでは、しばしば個別の生産者の利益が犠牲にされる一方で、後者の統括力を失った政府のもとでは、経済活動における不正や汚職が蔓延する事態が生じています。そのいずれの場合でも、弱い立場にある中小の農業生産者が困難な状況に置かれているという点では、共通していると言えます。
この成果の詳細については、農林水産政策研究所Web サイトをご覧ください(以下参照)。
PDF版ダウンロード(PDF : 405KB)
お問合せ先
企画広報室広報資料課
ダイヤルイン:03-6737-9012




