世界の食料需給及びフードセキュリティの展開と課題
- 世界全体の長期的な穀物等の生産量は変動を伴いながらも、これまで概ね需要量増加に対応して推移しており、世界レベルにおける生産量と需要量がほぼ均衡して推移してきました。ただし、地域・国レベルでみると穀物等の需給の不均衡が生じており、世界の栄養不足人口の割合(栄養不足蔓延率)は、2003年以降、減少傾向にあったものが、2018年以降、上昇傾向に転じ、2023年は世界の11人に1人が栄養不足に苦しんでいる状況にあります(第1図)。
- 現行のフードセキュリティの定義においては、「供給可能性」、「物理的・社会的・経済的入手可能性」、「適切な利用」、「安定性」の4つの構成要素があります。さらに、2020年には「エージェンシー」と「持続可能性」という2つの新たな構成要素が提案され、フードセキュリティの定義は6つの構成要素に進化しつつあります。現在までの世界の栄養不足人口の傾向は、SDGs目標2の2030年までに「飢餓の撲滅」を達成することが非常に難しい状況にあり、世界における食料不安を抱える人口も増加傾向にあります。また、これと同時に世界では成人の肥満人口増加の問題も深刻化しています(第2図)。このため、国際社会は栄養不足人口と肥満・過体重人口の増加という「二重の問題」に取り組む必要があります。
- 気候変動や生物多様性の減少に加えて、急速な都市化の進行による加工食品の需要増加への対応やグローバル化に伴う健康的な食品の確保等は、フードセキュリティにおける新たな課題です。
顕在化する世界のフードセキュリティにおけるリスク・不確実性としては、異常気象・気候変動、地政学的リスク、農業・貿易政策の変更等の問題があります。OECD-FAO、農林水産政策研究所等の各機関は中長期的な世界食料需給見通しを定期的に公表しています。ただし、こうした見通しは以上のリスク・不確実性を前提としていないため、こうした要因が発生する場合、見通し結果とは異なる結果が生じる可能性があります。このため、予測手法の精緻化、趨勢予測に代替するシナリオ予測のみならず、世界各国・地域の食料需給動向分析、農業・貿易政策の分析等も組み合わせて、世界の食料需給見通しや分析を行うことが必要です。
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| 第1図 世界の栄養不足人口等の推移 | 第2図 世界地域別成人肥満人口比の推移 |
| 資料:FAO et al., (2024)The State of Food Security and Nutrition in the world より作成。 | 資料:FAO et al., (2024)The State of Food Security and Nutrition in the world より作成。 |
この成果の詳細については、農林水産政策研究所Web サイトをご覧ください(以下参照)。
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