ごあいさつ

動物医薬品検査所は、ワクチンなどの動物用生物学的製剤や抗生物質製剤の検定、一般薬の検査など、動物用医薬品等の検定・検査を担う我が国唯一の機関として、昭和31年に設立されました。さらに、平成19年には、農林水産省本省が行っていた動物用医薬品等の承認審査業務が当検査所に移管され、現在では、動物用医薬品の開発から承認、製造、流通、そして使用までのすべての段階を見守る役割を果たしています。
動物用医薬品は、感染症を含む疾病の迅速・的確な診断や、より安全で効果的な予防・治療を支えることで、牛・豚・鶏などの家畜や、犬・猫などの愛玩動物の命を守るものです。また、畜産・水産分野では、食肉・牛乳・卵などの安全で安定した食料供給を支える重要な基盤でもあります。
こうした役割を確実に果たすため、当検査所はレギュラトリーサイエンスを担う機関として、科学的知見に基づき、開発段階の相談、承認審査、製造管理・品質管理の調査、流通前後における品質検査などを実施し、動物用医薬品の品質・有効性・安全性の確保、さらに、食品中への残留対策などを通じて、消費者の皆さまが安心して動物用医薬品を利用いただけるよう取り組んでいます。
また、家畜の重要な伝染病である高病原性鳥インフルエンザや豚熱のワクチン検査に加え、野外で発生する鳥インフルエンザウイルスに対応した備蓄ワクチンの有効性評価や、必要に応じたワクチン製造用株の変更など、調査・研究を通じた家畜衛生の向上にも貢献しています。
さらに、農林水産分野の薬剤耐性対策を支える基幹検査機関として、ワンヘルスの理念のもと、薬剤耐性菌のモニタリング(JVARM)、抗菌剤の使用量調査、医療分野と連携した遺伝子解析による疫学的関連性の解析などを通じ、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」の目標達成に寄与しています。
加えて、獣医療分野での活用が期待される間葉系幹細胞やiPS 細胞などを用いた再生医療等製品についても、その品質・安全性の確保に向けて、関係機関と連携しながら評価体制の整備を進めています。
国際的には、WOAHのコラボレーティングセンターとしてアジア地域の規制能力向上に貢献するとともに、VICHの中核メンバーとして承認申請資料の国際的ハーモナイゼーションを進めるなど、積極的に国際協力も推進しています。
当検査所は令和7年9月、東京都国分寺市から茨城県つくば市へ移転いたしました。新たな地においても、職員一同、研鑽を重ねながら、動物の生命を守る、畜水産業の健全な発展を支える、そして、食の安全を守る、という重要な使命の実現に力を尽くしてまいります。




