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農林水産省

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2025

12月号

森林総合研究所

未来をつくる、研究開発の現場

森林総合研究所では、森林の恵みを社会で生かすための研究を着実に進めています。多岐にわたる研究の中から、気になる3つのトピックを紹介します。

木からつくる、新しい酒

世界初となる木を原料にして酒をつくる技術を開発しました。 これまで酒の原料は食料が中心だったため、とても画期的なお酒です。 特徴を解説します。

森林総合研究所 森林資源化学研究領域 研究専門員 野尻昌信さん 埼玉県生まれ。木の酒の製造開発に取り組んで約9年。燃料用バイオエタノール開発から飲用アルコール開発に乗り換えて、定年退職後も再雇用で研究開発を継続している。

  • 1本の木からできる 酒の量はどれくらい? アルコール35%の蒸留酒をつくる場合、2キログラムの乾燥した木材からウイスキーボトル1本分(750ミリリットル)くらいの酒ができます。 樹齢50から60年ほどのスギ1本であれば、150本以上できるという計算になります。
  • 長い時間をかけて 育った木の味わい ワインはその年に採れたブドウを使いますが、木は何十年という時間をかけて育つものですから、樹齢60年の木を使った酒は、60年間、森のなかでずっと成長し続けてきたその歴史を味わうことができます。
  • 樹種ごとに異なる 風味が楽しめる スギはスギらしい清涼な風味、シラカバはフルーティーで、白ワインのような風味を感じます。日本のウイスキーはミズナラの樽で熟成させるのですが、ミズナラからつくった酒はまさにそんなウイスキーのような風味が楽しめます。
  • 地域のストーリーを 想起する 日本酒ではそれぞれの土地に造り手がいて、異なる風味を生み出しているように、木の酒も育った地域や山のストーリーを感じることができます。その土地の名産品となる可能性を持つお酒です。

木の酒の製造工程

木の酒は、材料となる木の樹皮をはいで木粉に水を加えて処理したものを発酵させて製造します。最後の処理を変えることで醸造酒にも蒸留酒にもなります。 木材 木粉 湿式ミリング処理 (木材の細胞壁を砕く処理) 木材スラリー (おかゆ状の木粉) 酵素・酵母 糖化・アルコール発酵 発酵もろみ ろ過 一次蒸留 二次蒸留 醸造アルコール (醸造酒) 蒸留アルコール (蒸留酒) ※木の酒の一般販売はまだ行われていません。

家具・内装材の可能性を広げる

家具や内装材として利用される広葉樹の約8割が輸入材です。世界的に広葉樹の供給が減少しており、国産材の活用促進が急務です。その取り組みを解説します。

森林総合研究所 木材加工・特性研究領域 チーム長 杉山真樹さん 化学処理木材の研究や木材を使用した福祉用具の開発に携わり、その後3年間林野庁に行政官として出向。現在は、木材および木質空間の快適性に関する研究、国産早生樹や広葉樹材の流通・用材利用に関する研究に従事。

  • 広葉樹の利用技術を研究 様々な日本の広葉樹材の特性を調査し、それに合う加工方法の開発、品質基準の策定を進めています。注目しているのは、成長が早いセンダンとハンノキ、日本に広く分布しているホオノキ、コナラの4種類の広葉樹です。
  • 樹種ごとに家具を試作 前述の4種類の広葉樹は、これまで家具にあまり使われていなかったこともあり、加工技術を工夫する必要がありました。加工のしにくさや、接合部分の強度不足などを克服して、厳しい基準をクリアした椅子が完成しました。(写真は左から、ホオノキ、センダン、ハンノキ、コナラ) 家具試作:飛騨産業株式会社
  • 研究成果の活用 研究成果をわかりやすくまとめたパンフレットを制作して配布しています。展示会を開催して家具を展示したところ、一般消費者からは手応えを感じる反響がありました。関連する報告会での発表や雑誌への寄稿など普及に努めています。

森を見守る技術 AI搭載のドローン

林業DXには、森林内の地形や立木などの高精度なデジタルデータが必要です。効率的なデータ収集を可能にするAI搭載のドローンの活用について研究しています。

森林総合研究所 林業工学研究領域 瀧誠志郎さん 専門は森林情報学。これまで樹幹解析による炭素固定量の試算、長期的な資源供給シミュレーションについて研究。現在はUAVやLiDAR、GNSSなどの先進的技術を活用した森林デジタルツインの構築と利活用について研究。

  • 6台の魚眼カメラを搭載 信号受信ができない場所でも飛行し、搭載した6つの魚眼カメラから得た情報をAIによって画像処理することで、障害物を検出して安全な距離を保ちながら飛行することができます。
  • 森林内の樹木を調査 AIドローンは樹幹下を飛行できるので、上空からの撮影では得られなかった情報が得られます。森林内の樹種ごとの生育状況や山林の地形に関する詳細なデータが得られるようになります。
  • 調査データの活用 森林の3Dモデルを作成しデジタルアーカイブとして保存することで、伐採前にそこから得られる木材の量や質を予測して収益計算をすることができます。地形情報は、林業機械を導入するための道路計画にも活用できます。

イベントやセミナーを開催!

森林総合研究所では、さまざまな人を対象にしたイベントやセミナーを開催しています。夏休みにはオンラインで、小学生から大学生までを対象に研究相談や進路相談を受け付けています。今後の開催については、ウェブサイトをご確認ください。 森林総合研究所のイベント・セミナー:https://www.ffpri.go.jp/event/index.html
森林総合研究所では、さまざまな人を対象にしたイベントやセミナーを開催しています。夏休みにはオンラインで、小学生から大学生までを対象に研究相談や進路相談を受け付けています。今後の開催については、ウェブサイトをご確認ください。 森林総合研究所のイベント・セミナー:https://www.ffpri.go.jp/event/index.html

今週のまとめ

森林総合研究所は、木の酒や日本の広葉樹を使った家具の開発など、私たちの暮らしに近い研究も多く行っています。こうした研究成果を社会に還元するための取り組みにも力を入れ、積極的に情報発信しています。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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