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農林水産省

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2025

7月号

土地改良区

地域のインフラを支える、土地改良区

土地改良区は、水を通して地域のインフラとなっており、その土地の特色を活かした取り組みを進めています。山形県と滋賀県の土地改良区で話を聞きました。

地域に根付く山形県の土地改良区

山形県の内陸部に位置する寒河江川(さがえがわ)土地改良区は、さくらんぼ栽培をはじめとする農業が盛んな地域です。事業を通してさまざまな角度から住民の暮らしを支えています。

寒河江川土地改良区 松田和之さん 山形県寒河江市生まれ。2012年から寒河江川土地改良区で勤務。総務課長兼会計主任。防災士。2級土木施工管理技士。

水利施設の管理 区域にある頭首工や堰、用水路などを定期的に点検し、必要な修繕、補修を行います。寒河江川にある2つの頭首工は農業用水の取水に役立っています。また、水生生物に配慮し、魚等の通り道として魚道を設置するなど環境にも配慮した頭首工です。

用水路の維持・管理 用水路やため池の草刈りは外部に委託せずラジコン草刈機などを導入して職員が行うほか、二の堰と高松堰では、地元団体や住民がグラウンドワーク二の堰、グランドワーク高松堰を組織し、草刈りや清掃活動を行っています。

水管理にICTを活用 2020年夏の豪雨時に区域の農地に浸水被害が発生したことから、スマート水管理システムを導入。スマートフォンで水量をモニタリングし水門のゲートや給水栓の操作が可能に。労力の削減、豪雨時の見回り事故の防止に役立っています。

土地改良区が果たす多面的な役割

土地改良区はどのような役割を果たしているのでしょうか。農業の生産性を高める本来の目的のほかに景観保全など、寒河江川土地改良区が地域で担っている多面的な役割の一部を紹介します。

01水害を防ぐ 山に囲まれた寒河江川地区では、大雨時には山地からの排水が住宅地まで及ぶこともあり、ダムや用水路などの施設によって水位を管理しています。

02地域計画 農地の所有者や耕作者に実施したアンケートをもとに今後の農業生産の意向を示す地図を作成。農地を次世代へ継承するための地域計画の策定に参画しています。

03憩いの場の創出 農業用水路を利用して整備した二の堰親水公園には、東屋(あずまや)や水車、遊歩道、鯉が泳ぐ池があり、地域住民の憩いの場となっています。

04景観保全 二の堰がある用水路沿いに整備した、全長3,070メートルの遊歩道や地元の特産品ブルーベリーを植えた安全柵などが、地域の景観保全にも役立っています。

地域で盛り上がる寒河江川土地改良区のイベント

水利施設では、地域住民が気軽に参加できるイベントを開催しています。毎年たくさんの人で賑わい、参加者たちの温かいコミュニケーションの場となっています。

4月中旬さくらまつり 二の堰で満開の桜のもと開催されます。水路でのカヌー体験やスタンプラリーなどを実施。玉こんにゃくや団子が振る舞われ毎年1,000人以上が訪れます。夜桜のライトアップは神秘的な光景が好評です。|7月海の日せせらぎフェスティバルin高松堰 地域住民で組織され高松堰幹線水路の清掃活動を行うグラウンドワーク高松堰が主体となって開催。用水路で行うチューブスライダーでの川下りやニジマスのつかみ取りは子どもたちに大人気です。

10月河北水・土・里POWERフェスティバル 谷地堰の円筒分水工親水空間で開催されるイベントです。地域住民に農業農村整備事業を説明するパネルの展示の他、スマート農業や防災に関するクイズラリー、ティラノサウルスレースを実施しています。|10月芋煮会 山形県名物の芋煮会を地元のガールスカウトやロータリークラブのメンバーとともに二の堰親水公園で開催しています。里芋はガールスカウトの子どもたちが種付けをして育てたものを収穫して使います。

河川や湖の水を農地に届ける工夫

琵琶湖の東側に位置する滋賀県の日野川流域土地改良区では、多様な水源を活用しています。日野川は流量が少ないため、下流にある琵琶湖からポンプで取水したり、ため池を活用したりと複雑な用水系統のコントロールが必要です。地域での取り組みを紹介します。

高度な配水管理 河川や琵琶湖などの水や雨水などを利用するため、区域には1つのダム、9つの頭首工、48の揚水機場、112のため池と多くの水利施設があります。中央管理所では高度な配水管理を実施し、これらを効率よく運用しています。

節水・節電を実現 揚水機など電力が必要な施設が多く電気代の高騰が懸念されています。施設に設置したソーラーパネルの活用のほか、農作業に支障のない期間に夜間の流量を抑制するなど節水・節電に取り組み、成果を上げています。

水利施設の多面的機能 水利施設は多面的機能をもっています。蔵王ダムでは、滋賀県の防災航空隊が防災ヘリコプターによる水難救助訓練を実施。農業用水の貯水や大雨時の水害防止だけではなく、地域の活動にも貢献しています。

次世代の担い手を育成 地域の小学校では職員が出前授業を実施。河川や琵琶湖から田畑までの水の流れや水利施設の紹介などを通して関心を高めています。また地域住民による蔵王ダムの清掃活動などの地域イベントにも力を注いでいます。

今週のまとめ

土地改良区は、地域の特徴に合わせて事業を進めてきました。災害の防止やイベントの開催など農業従事者以外の暮らしにも役立っています。地域の土地改良区は、私たちにとってとても身近な存在です。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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