実施中の試験研究課題(短期課題解決型研究)
農林水産省では、安全な農畜水産物を安定的に供給し、食の安全及び消費者の信頼を確保するため、食品安全、動物衛生、植物防疫等の分野の行政施策・措置(法令・基準・規則等)の決定に必要な科学的知見を得るため、安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業を実施しています。本事業のうち、短期課題解決型研究で実施中の試験研究課題は以下のとおりです。また、課題解決型プロジェクト研究で実施中の試験研究課題はこちらを御参照ください。食品安全に関する研究
海洋環境の変化を踏まえた貝毒低減等安全性向上に係る技術開発、検証
- 課題番号:24018789
- 研究期間:令和6年度~令和8年度
- 研究概要
近年、海洋環境の変化により麻痺性・下痢性貝毒の発生が広域化・長期化していること、また毒化する貝の種類が増えていることから、従来の貝毒モニタリングによるリスク管理に加え、貝毒の原因となるプランクトンの発生を抑制するなど根本的な対策が求められています。
そこで、貝毒原因プランクトンの発生抑制手法について、室内試験による安全性、有効性の検証を行い、貝毒プランクトン抑制技術の確立を目指します。また、近年、新たに毒化するようになった貝類や、従来と異なる部位での強毒化が問題となっている貝類について、生体内の部位別に貝毒の蓄積等動態解明を行います。 - 研究実施機関:海洋環境の変化を踏まえた貝毒低減等安全性向上に係る技術開発、検証研究グループ
- コンソーシアム構成員:
(国研)水産研究・教育機構、岩手県水産技術センター、国立大学法人東北大学、京都府農林水産技術センター
麦角アルカロイド類の筋収縮作用に基づく毒性評価に関する研究
- 課題番号:25151973
- 研究期間:令和7年度~令和9年度
- 研究概要:
麦角アルカロイド類は、クラビセプス属真菌が産生するかび毒です。本菌は主に小麦やライ麦等の穀類に感染し、麦角病と呼ばれる植物病害を引き起こし、黒く穀粒状の麦角菌核を形成します。麦角菌核には多種類の麦角アルカロイド類が含まれ、その一部は血管や子宮の平滑筋に収縮作用を示すことから、主要12分子種について筋収縮作用を指標とした急性参照用量(グループARfD)および耐容一日摂取量(グループTDI)が設定されています。
しかし、これらの基準値は限られた分子種の毒性データに基づいて設定されており、各分子種間の作用強度や異性体差が十分に考慮されていないため、定量的なリスク推定には不確実性が残されています。
本研究では、麦角アルカロイド類による血管又は子宮の筋収縮作用を定量的に測定できる試験法を選定し、評価に最適な試験条件を決定します。さらに、決定した条件下で、麦角菌が産生する主要な麦角アルカロイド12分子種の相対的な筋収縮強度を明らかにします。加えて、筋収縮作用メカニズムについても検証を行います。
本研究の成果は、麦角アルカロイド類のリスク評価やその妥当性の検証に資する基礎データとして活用し、科学的根拠に基づき、国民の健康保護と食品(主に穀類)の安定供給を両立するリスク管理措置の検討に役立てます。 - 研究実施機関:麦角アルカロイド類の毒性評価コンソーシアム
- コンソーシアム構成員:
国立大学法人北海道国立大学機構帯広畜産大学、学校法人北里研究所北里大学獣医学部、学校法人東日本学園北海道医療大学
カキ養殖海域の清浄性把握に向けた海水中のノロウイルス指標微生物に関する研究
- 課題番号:26254642
- 研究期間:令和8年度~令和10年度
- 研究概要
ノロウイルス(NoV)による食中毒は、令和6年の病因物質別患者数の60.8%を占めています。カキは、摂餌のために大量の海水を体内に取り込む際、海水中のNoVを取り込み、蓄積することがあり、NoV食中毒の原因となることがあります。
カキのNoV汚染を低減するためには、養殖海域の衛生状況を適切に把握することが重要です。また、生産段階におけるリスク低減措置として、海域の区分管理、転地処理、深吊り等が知られていますが、効果的な対策を講じるためには、養殖海域のNoV汚染リスクを把握する必要があります。
そこで、カキ養殖海域のNoV汚染リスクを把握するため、海水中の微生物を代替指標として用いたモニタリング手法を開発します。また、得られた知見を、代替指標に基づく養殖海域の区分管理の検討や、水産試験場等における衛生管理に活用できるよう取りまとめます。 - 研究実施機関:山形大学・山梨大学・鶴岡高専共同研究体
- コンソーシアム構成員:
国立大学法人山形大学、国立大学法人山梨大学、鶴岡工業高等専門学校
動物衛生に関する研究
国産豚熱マーカーワクチン及びワクチン抗体識別用ELISAキットの開発に関する研究
- 課題番号:25134041
- 研究期間:令和7年度~令和8年度
- 研究概要:
2018年に国内で再発生した豚熱(CSF)は現在も継続して発生しており、飼養豚に対するワクチン接種が実施されています。しかし、現行ワクチンでは感染豚とワクチン接種豚の識別が困難であり、将来的な清浄化を見据えた対策として、識別可能なマーカーワクチン及び識別キットの実用化が求められています。国内では、遺伝子組換え技術を用いたワクチン候補株が開発され有効性が確認されていますが、一般的な肥育豚の飼養期間(6か月間)にわたる持続性の検証および識別キットの開発が課題となっています。
本研究では、当該候補株を豚に接種し、液性免疫および細胞性免疫を定期的に評価するとともに、接種約6か月後の免疫状態を確認して有効性の持続期間を検証します。併せて、ワクチン抗体と高い反応性を示す識別抗原の調製法を確立し、これを用いた抗体検出間接ELISAキットの開発を進め、接種豚血清による識別性能を実証します。
得られた成果を基に、感染個体の迅速な摘発と精度の高いサーベイランスを実施し、豚熱清浄化を推進します。 - 研究実施機関:豚熱マーカーワクチンコンソーシアム
- コンソーシアム構成員:
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、株式会社ニッポンジーン
植物防疫に関する研究
テンサイシストセンチュウ対策に導入可能性のある輪作候補作物の防除効果及びリスクの評価に関する研究
- 課題番号:25133412
- 研究期間:令和7年度~令和9年度
- 研究概要:
長野県の一部地域で緊急防除を実施しているテンサイシストセンチュウ(Hs)については、発生ほ場で土壌消毒(D-D剤)による密度低減が行われています。一方、防除後の寄主植物栽培再開に伴う再発生や周辺地域での新規発生が見られ、営農の早期再開と再発生防止を両立する、より効果的な防除技術の確立が求められています。具体的には、現地で導入可能と見込まれる輪作候補作物の防除効果を評価した上で、非寄主植物や捕獲作物の栽培を組み込んだ輪作を導入・普及していくことが急務です。
本研究では、Hsに対するふ化促進効果を防除効果の評価基準とした標準手法を確立し、輪作候補作物を幅広く選定します。また輪作候補作物に対するHsの寄生性を評価し、輪作作物としてリスクがないことを実地検証等により確認します。 - 研究実施機関:テンサイシスト対策コンソーシアム
- コンソーシアム構成員:
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、長野県野菜花き試験場
農地周辺の土地利用や農業支援サービス事業者の関与等を考慮した広域型総合防除に関する研究
- 課題番号:26254437
- 研究期間:令和8年度~令和10年度
- 研究概要:
農業生産の増大及び農業の持続的な発展が実現されるよう、総合防除実践ガイドラインに基づき、「予防・予察」に重点を置いた総合防除を一層推進し、農業現場への浸透を図る必要があります。一方、農業者の減少や高齢化等に伴い、農地周辺の雑草地等が病害虫の発生源となり、農地での発生やまん延につながることが課題となっています。特に水稲では、農地周辺の雑草地や常緑針葉樹林等を発生・繁殖源とする斑点米カメムシ類への対策の必要性が全国的に高まっています。
そこで、斑点米カメムシ類について、農地周辺の土地利用等の違いによる発生・まん延リスクを評価するとともに、広域的な雑草管理による防除効果を検証します。また、今後ニーズの拡大が見込まれる農業支援サービスについて、広域型総合防除体制を構築するための農業支援サービス事業者の関わり方に関する基本的な考え方を整理します。 - 研究実施機関:広域総合防除コンソーシアム
- コンソーシアム構成員:
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、宮城県古川農業試験場、一般社団法人農林水産航空・農業支援サービス協会
輸入検査において草の種子の混入が確認された場合の措置に関する研究
- 課題番号:26254280
- 研究期間:令和8年度~令和10年度
- 研究概要:
令和4年の植物防疫法の改正により、有害植物に草が追加され、草に対する輸入検疫措置を講じることが可能となりました。これまで、輸入栽培用種子を経路として侵入するリスクがある草について、混入実態調査や消毒措置の確立に係る研究を進めてきましたが、その他の経路と考えられる乾燥牧草や飼料用穀類及び食用穀類については、実行可能な輸入検疫措置を検討するための知見が十分ではありません。
そこで、輸入乾燥牧草、飼料用穀類及び食用穀類について、草種子の混入実態を調査するとともに、混入した草種子に対する消毒技術の有効性を検証します。また、対象となる草について、農地以外も含めた国内でのまん延実態を調査します。 - 研究実施機関:草の種子コンソーシアム
- コンソーシアム構成員:
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、国立大学法人宇都宮大学、国立大学法人京都大学、国立大学法人千葉大学、一般社団法人日本くん蒸協会、三州産業株式会社
動物衛生及び植物防疫に関する研究
動植物検疫におけるAIを活用したX線画像解析による輸入検査技術・システムの開発に向けた調査研究
- 課題番号:24018921
- 研究期間:令和6年度~令和8年度
- 研究概要:
近年、国際郵便物から種苗類等の植物や畜産物が見つかる事例が多くなっており、それらを介した重要病害虫等の侵入リスクが高まっています。また、国際郵便局での取扱数量は膨大で多様なものが含まれており、検査対象郵便物を全て開封して検査を行うことは難しく、病害虫が付着した植物等の郵便物による持込みを十分に防止することは困難な状況です。
このことから、国際郵便物として輸入される植物や畜産物を効率的かつ効果的に検出するためにAIを活用したX線画像解析による輸入検査技術・システムを確立し、水際の輸入検査体制の強化を図ります。 - 研究実施機関:東芝インフラシステムズ(株)
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課食品安全科学室
担当者:レギュラトリーサイエンス対応推進班
代表:03-3502-8111(内線4451)
ダイヤルイン:03-3502-5722




