野村農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和5年8月8日(火曜日)11時01分~11時19分 於: 本省講堂 |
|---|---|
| 主な質疑事項 |
|
質疑応答
- 令和4年度食料自給率について
記者
幹事社から2点。昨日発表されました食料自給率と、いわゆる原発の処理水についてお尋ねします。1点目、食料自給率ですけども、令和4年度は、カロリーベースで38%と前年度から横ばいでした。政府は令和12年度に45%に引き上げる目標を掲げていますが、現状40%を割り込む状態が10年以上続いています。この38%という数字に対する評価と、これを引き上げるための課題についてお聞かせください。
大臣
今回、発表した食料自給率、カロリーベースは38%で横ばいでした。生産額ベースの食料自給率は、前年度より5ポイント下回り58%となりました。カロリーベースの食料自給率は変わらなかったのですが、これは前年豊作だった小麦が平年並みの単収に下がった一方で、原料の多くを輸入に頼る油脂類の消費が減少したということ等が要因と考えています。こうした中で、海外依存の高い小麦、大豆、飼料作物等の生産拡大を着実に進めていきたいと思っていまして、単収の向上なり、安定化を図るということで、需要者のニーズに応えた生産をしていきたいと思っています。一方、生産額ベースの食料自給率が下がったということですが、これは穀物等の国際価格の上昇による輸入額の増加等が要因と考えています。これにより、生産額ベースは5ポイント下がったということで、国産のものに切り換えていくということを基本的な方向として考えているところです。
- ALPS処理水の海洋放出について(1)
記者
2点目ですけども、いわゆる東京電力福島第1原子力発電所の処理水を巡る問題で、海洋放出の時期が焦点となっていますが、岸田首相は、夏頃とする方針を変えていないということなのですけれども、9月から福島県の沖合で底びき網漁が解禁されるということで、かなり現地の事業者が懸念されています。いわゆるその風評被害を抑え込むための方策とか政府の取組の現状についてお聞かせください。
大臣
ALPS処理水の海洋放出について、政府は今月下旬にも開始する方向で調整に入ったということを、(報道され)ているわけですが、処理水の海洋放出の時期については、政府内で意思統一をして、いつというような話はまだ聞いていません。いざ発表すると、いろいろな影響も出てきますから、外国がどういう反応を示してくるのかということも気になるところですので、(処理水の海洋放出については)慎重に検討を進めながら、今後、政府内で意思統一を図り、対応をしていかなければいけないと思っています。処理水の海洋放出については、科学的な根拠として、国際原子力機関(IAEA)による処理水の安全性の評価に関する包括報告書を出しています。今、中国なり香港なり、いろいろ輸入の制限をしていますが、検査ということでやっていますけれども(日本からの食品輸入規制撤廃に向けて、国際的な動きに逆行するものであり、強く懸念しており)、今、中国政府にも働きかけているところです。いつかの時点で(処理水の)海洋放出というのは必ず来るわけですので、漁業者の皆さん方の不安を払拭しながら、そして、風評ということで日本の農産物、特に海産物について、(輸入の)制限をしていくようなことがないように取り組んでいかなければならないと思っています。
- 水産物の輸出の見通し、靖国神社への参拝について
記者
今の質問に関連したものが1点と、靖国参拝についてご意向をお聞かせいただけたらと思っています。まず、EUの輸入規制の撤廃に続いて、EFTAの諸国についても規制撤廃が近くされる見通しとの報道を我々はしておりますが、一方で中国、香港、マカオは水産物の通関問題で、今、大臣おっしゃったように検査を強めています。そういった中で水産物の輸出について、問題が若干生じていますが、この状況の受け止めと、今後の水産物の輸出の見通しについてお聞かせください。
大臣
EU等には、これまでいろいろな場面で制限を撤廃するようにということでお願いをしてきまして、最終的には、総理とEU代表との話し合いの中で撤廃が決まり、そのあとノルウェーやアイスランドの規制撤廃、またスイスが8月15日には輸入規制を撤廃するという話も聞いており、EU諸国等々については、完全に規制撤廃されたと(いうことです)。EFTA諸国もこれに準じた形で輸入規制を撤廃してくれると思っていますので、よかったと思っていますが、一方で、ALPS処理水の問題を巡って、中国、香港、マカオなどで、今、輸入規制による通関の遅延が(一部)発生して影響が出ています。水産物だけではなく、コメや他の物についても同じような事象が起こっているということを聞いていますが、これらについては、国際的な動きに逆行するということで、強く懸念しており、中国等に対してはその旨申し入れをしています。引き続き、正確な状況の把握に努めますが、関係省庁と連携し、今後の対応を検討したいと思っていますけれど、具体的な輸出の影響の大きさがどの程度かというのは、現時点では回答できません。今、一生懸命、輸出に力を入れている最中なので、今後、各国にも今の状況について説明を丁寧にしながら誤解を解いていきたいと思っています。
靖国(神社への参拝)については、私は昨年も就任したのが8月10日なので、同じような質問があったのですが、その時もお答えしたのですけれども、私は親父が戦死をしていますので、これまで私は東京にいるときには靖国神社に、鹿児島にいるときには護国神社で8月15日はお参りをしていました。今、大臣という立場になっていますので、今年の8月15日も適正に対処したいと思っています。
記者
適正な対処というご発言にとどまるという理解でよろしいでしょうか。参拝するか否かはまだ決めてらっしゃらない。
大臣
まだ決めておりません。ただ8月15日は終戦記念日で、国の行事がありますので、そちらの方には行こうと思っています。
- ALPS処理水の海洋放出について(2)
記者
1点目の関連で、近く処理水の放出が予定されることによって、国内の水産物価格への影響はどのように見てらっしゃるでしょうか。
大臣
まだ、実際に放出されていませんので、どういう影響が出てくるのかということはなかなか計り知れないところもありますが、現在までの情報では、国内の水産物価格の全体の傾向として、大幅に下落しているという状況は見られませんけれども、引き続き状況を注視していかなければならないだろうと思います。
- 不測時における食料安全保障に関する検討会について
記者
本日立ち上がった、不測時における食料安全保障に関する検討会についてお伺いします。今ちょうど省内で初会合が開催中かと思いますが、検討会立ち上げのねらいと、今後どのように議論を進めていきたいか、お考えをお願いいたします。
大臣
(食料安全保障に関する検討会)につきましては、本年6月に開催された、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において決定された「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」の中で整理しています。不測時におけるということは、今回初めて基本法の(検証の)中に盛り込んだ内容ですので、学識経験者の方の意見等を聞きながら、どの品目で、どの程度の量、どのぐらいの期間にわたって供給が減少した場合に、政策的な対応が求められる影響が生じ得るのか、検討しなければならないし、どの段階で、いかなる措置をとる必要があるのか、あるいは、不測時において政府全体の意思決定を迅速に行う仕組みはどういうものか等について(検討することが必要だと考えています。)このことについては、農林水産省だけで決められる話ではありませんので、政府全体の仕組みとして組織化していく必要があります。もちろんこの政策に関する法律も必要になりますので、法律事項についても検討していかなければならないということで、不測時における食料安全保障に関する検討会は、今申し上げたことについて、検討していきたいと思っています。今後、月に1回から2回程度のペースで(計6回程度議論し、本年中を目途に検討結果を取りまとめることを予定しています。)
- 乳製品の値上げの実態調査について
記者
牛乳の関係で一点お伺いします。先週の閣議後会見の時に、牛乳の値上げに関して、小売などの実態を調査するというようなご発言されていましたが、その後の店頭調査などで分かったことがありましたら、教えていただきたいと思います。
大臣
(牛乳の小売店頭価格調査)については、担当課の方に(週に2回)牛乳の小売店頭価格の調査をするよう指示していたところです。8月6日時点でほとんどの商品で値上げを確認していますが、値上げ幅は店舗によりバラバラで、10円から50円の幅で値上げがされています。どのぐらい価格を上げるのかというのは、それぞれの小売店によって違うもので10円から50円の間で小売店において値上げされているということです。ただ、このコスト増の価格への適切な反映は重要であり、(値上げについて)消費者の方々にもご理解をいただきたいと考えていますが、引き続き、消費への影響を注視してまいります。(昨年度の乳価の値上げの際、)11月の時には2.3%の消費減、12月は4.4%の消費減ということで、値上げによる消費減ということが顕著に出ています。今回は消費減のところまでは、8月いっぱいを見ていかないと、どのぐらい消費が減ったかということは見えないのですが、ただ、金額は先ほど申上げたとおり、10円から50円の幅で値上げされています。
報道官
よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。
以上




