更新日:平成28年7月7日
担当:農村振興局
第5回(平成28年6月24日)議事概要
1 開催日時
平成28年6月24日(金曜日)14時00分~16時00分
2 開催場所
農林水産省三番町共用会議所大会議室
3 出席者
【委員】
高橋寿一委員長、安藤光義委員、中井検裕委員
【事務局】
農村計画課長、他
4 議事
(1) 関係者現地ヒアリング(茨城県)の結果等について
(2) 論点整理について
(3)検討スケジュールについて
5 議事概要
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事務局から上記4の(1)から(3)について、資料に基づき説明を行った後、各委員から意見を受けた。
委員からの主な発言は以下のとおり。
(○:委員からの発言、⇒:事務局からの発言)
○ 農業者の話では「水田には転用期待がないが、畑にはある」ということであったが、畑の立地条件として、交差点脇やインターチェンジに近いところで転用期待がありそうだということなのか。
⇒ 水田は建物を建てる条件が必ずしもよくない、また、基盤整備が入っている圃場が多いのに対して、畑は地盤がしっかりしているので転用がされやすい。加えて畑の多いつくば市にはつくばエクスプレスの影響がある。土浦からつくば市に入った途端に地価が高くなるという話であった。
○ 昨年度の現地調査によりある程度方向性がでてきたことが、今回の現地調査で確認されたものと考えられる。
○ 青森県や岩手県では農地価格が下がり、後継者がいない農家が農地を売る動きがある。このように農地売買が進む状況があれば、貸借で農地の流動化を促進するという考え方が必ずしも適用できない。そのような地域がどの程度あるか調べてみてはどうか。
⇒ 転用の抑制手法を考えるときに、合理性の視点や流動化の必要性の程度に応じてどのような手法をとるのかの検討にも密接に関わる。可能であれば全国の農地価格の分布や下落の状況などについて整理したい。
○ 土地利用型農業の担い手が少ない地域の場合は、たとえ転用期待を抑えられたとしても、農地の受け手がいないため農地の流動化は進まない可能性がある。農地転用実態と流動化状況の関係性を検討する際には、その地域の農業構造がどうなっているかを押さえておく必要がある。
⇒ まさにどのように転用期待を抑制するかに関わってくる。取ろうとする手法がどれくらい財産権を制約するものなのか、流動化を促進する必要性との相関関係をみるときの必要な視点であると考えている。
○ 転用期待がありそうなところを可能な限り明確にすべき。それ以外の残りの地域は転用期待があるにしても消極的な転用であり、今回のテーマでは問題にならないのではないか。まだ農家側に開発願望が残っている中部圏の名古屋近郊で追加ヒアリングをすることも考えられるのではないか。
⇒ あまり農業や農地のことを知らないサラリーマン世代の人たちがどう動くのか、こういう人たちをどういう風に誘導していくのかということは、検討に当たり必ず意識しなければいけないと考えている。
○ サラリーマン世代が相続して持っている農地の転用意識についても、注意して見ておくべきではないか。
○ 単に農地の流動化を進めるだけではなく、担い手への農地の集積率を高めるということを最終目標にしているのであれば、担い手の分布や新規参入なども含めて考えるべき。
⇒ 目標は担い手への農地集積。新規参入者も含め、担い手の状況を考慮する必要があるが、農地が集積されることによって、新規参入者を含め担い手の規模拡大の条件が整うとも言える。
○ 転用期待を持つプロセスは様々であり、例えば、インターチェンジ周辺でも、非農家が農地を相続して耕作放棄地化し、そこで転用期待が高まっていくといった仮説的なシナリオを考えることができないか。
○ 転用期待は、社会資本の具体的な整備スケジュールが明らかになるくらいの確実性がないと発現しない。具体的な整備スケジュールに対して、農家が利用権設定を拒むことがあるのではないか。例えばリニア、高速インターなど、具体的な整備スケジュールが発表される区域で調べてはどうか。
⇒ 地域によって転用期待の状況は異なり、また個人によって考え方も異なるので、そうしたことを念頭に入れながら、今後の検討を進めたい。
○ 良い転用期待と悪い転用期待があって、悪い転用期待だけをうまく排除したいということが問題設定で、最終的に流動化を阻んでいるような悪い転用期待を排除する手法を検討していくべき。例えば、農地の転用規制についての格付けや仕分けを土地利用計画で、都市計画と一緒に行うことが考えられる。
⇒ 良い転用期待と悪い転用期待を仕分けして、悪い転用期待が解消され、最終的には担い手へ農地が集積されるための方策を具体化していきたいと考えている。
○ 農家が代替わりすると農地の規制や賃貸借の仕組みなどが分からなくなることはありえる。ソフトな啓発、周知活動や情報伝達を進めることも有力な手段。
○ 農地や山林は資産価値が低いことを都会の人たちに認識してもらうことは、非常に重要。誤解に基づく資産保有意識が農地流動化を阻害することは避けなければならない。不在地主が増えると取引コストが上がって利用権設定の手続でさえ大変になる。農産物の価格が下落する中では、採算が合わない農地を守れと言っても守れない。このような農地に転用規制を強化しても意味がないため、耕作できない農地の取り扱いについて、本検討会で議論すべきか、方針を決めてはどうか。
⇒ 条件が悪い農地を今後どうしていくかということは、非常に大きな関心事ではあるが、そこを転用規制の強化や転用期待の抑制によって解決することは難しい。農林水産省全体では、担い手の確保や食料の安定供給にどのようにつなげていくかということは大きな課題だが、この検討会としては、課題として指摘するところまでではないかと考えている。
○ たとえ転用期待が高かったとしても、農地を転用しようという時に、離作料を支払う必要がなく確実に返ってくるとすれば、論理的には転用期待は農地の流動化の支障にはならない。所有者が農地を返してほしいと言えばすぐに返してくれる仕組みがあれば、農地流動化の妨げにはならずに、担い手への集積が進む可能性がある。
⇒ 必ずしも全ての方が農地の賃貸借の仕組みについて理解しているわけではなく、また、場所によっては、転用期待が強いということで、なかなか担い手への集積が進まないところもある。バブルや高度成長期に比べて地域の状況は大きく変わっているため、そうした状況を踏まえながら、転用期待抑制の手法等について検討していく。
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