各国のWTO農業交渉提案
平成13年2月
国際経済課
米国
包括的交渉提案(G/AG/NG/W/15)
<交渉スケジュール>
- 2001年に保護の引下げ方法につき合意。2002年末までに全体合意
<市場アクセス>
- 各国間の関税水準の格差及びタリフエスカレーションの大幅削減又は廃止
- 一次税率を含むすべての関税の大幅削減又は廃止
- 特別セーフガードの廃止
- 関税割当量の大幅拡大
- 輸入国家貿易企業の排他的な輸入権利の廃止
<輸出競争>
- 輸出補助金の撤廃
- 輸出国家貿易企業の排他的な輸出権利の廃止
- 輸出税使用の禁止
- 輸出信用については、OECDにおいて交渉
<国内支持>
- 国内支持の規律を以下の2つのカテゴリーに単純化
[1]削減対象外:貿易歪曲性または生産に対する影響が全くないか最小
[2]削減対象:[1]以外の国内支持 - 固定された基準期間の農業総生産額の一定のパーセント(各国共通)を、AMS(助成合計量)の最終約束水準とする
<途上国への特別かつ異なる待遇>
- 技術支援の強化
- 途上国、特に後発開発途上国に対する市場アクセスの改善
- 開発及び食料安全保障に必要な削減対象外支持施策に対する柔軟性の確保
<食料安全保障>
- OECDにおける輸出信用の規律により食料安全保障の改善を妨げるべきではない
- 穀物貿易等の輸出報告システムの整備
- 輸出制限に関する規律の大幅強化
<分野別イニシアティブ>
- 分野別交渉を行い、市場アクセス、輸出競争及び国内支持のそれぞれの分野で一般的に適用される約束を超えた関税撤廃等を約束
関税割当(G/AG/NG/W/58)
- 関税割当制度の運用の透明性改善、非制限性の確保
- 輸入ライセンスの再交付に関する規律の確立
- 最終的には経過的措置である関税割当制度は廃止
- 一次枠の消化実績が低いものほど枠内税率を削減
- 最恵国ベースで枠内輸入量を増加
- 枠外税率の大幅引き下げ
- 一次枠の平均消化率が一定の基準以下の場合、自動的に枠内税率を引き下げ
EU
「青」の施策(G/AG/NG/W/17)
- 「緑」の施策と同様、「青」の施策の維持
食品の品質に着目した市場アクセス機会の向上(G/AG/NG/W/18)
- 食品及び飲料の名称の不正使用に対する効果的な保護措置の整備
- 消費者保護と公正な競争の確保のための表示ルールの整備
動物愛護と農業貿易(G/AG/NG/W/19)
- 動物愛護に係る多国間合意に向けての取組み
- 動物愛護に係る生産基準に関する表示制度の整備
- 動物愛護に係る基準を満たすための追加的費用に対する補償についての検討
輸出競争(G/AG/NG/W/34)
- 輸出補助金だけでなく、輸出競争に関する全ての措置についてのより公平な規律が必要
- 輸出信用は、WTO規律の下におかれるべき
- 食料援助全般について濫用を避けるためのより強い規律がWTOの下で必要
- 輸出国家貿易企業に関するWTO規律の厳格化
包括的交渉提案(G/AG/NG/W/90)
<市場アクセス>
- 全品目の平均引き下げ率と品目別の最低引き下げ率の約束により削減
- 関割の運用の透明性(transparency)、信頼性(reliability)、安全性(security)の向上のための規律の明確化
- 原産地/伝統的産品につき、名称・地理的表示の権利保護、表示規則による消費者保護
- SSGと同様の制度を存続
<輸出競争>
- 公的輸出信用はWTO規律の下に置く
- 食料援助は完全な贈与の形態で実施
- 食料援助の実施に係る行動規範を策定
- 国家貿易企業に関し、クロス助成(cross-subsidisation)、価格プール(price-pooling)の廃止及び買入コストと輸出価格の通報義務化
<国内支持>
- 現行助成合計総量の更なる削減(特に非産品特定的助成及び先進国のデミニミスの削減)
- 「青」・「緑」の政策の維持
- 「緑」の政策の要件見直し(貿易歪曲性の最小限化を確保すると同時に、環境保護、農村地域開発、貧困軽減、動物愛護、途上国の食料安全保障といった社会的目的を満たす措置を確保)
- 市場価格変動に対する補償、輸出の振興に資する可変的な「黄」の政策に対しては特別な規律
<非貿易的関心事項>
- 環境保護、農村地域の活性維持、貧困軽減を目的とした施策については新たな協定で規定(的を絞り、透明で、最小の貿易歪曲で行うべき)
- 予防原則の適用について明確化
- 食品の表示についてはWTOで適切に対処
- 動物愛護については
[1]多国間協定の整備
[2]適切な表示制度
[3]動物愛護の基準遵守にかかった追加費用への補償は削減対象外とすることを検討
<開発途上国/S&D>
- 先進国及び富める途上国は、[特に後発]開発途上国に対し実質的な貿易特恵措置を与える
- 途上国の食料安全保障及び農村開発のための国内支持は、適当な場合、「緑」の政策として削減対象外とするほか、途上国のデミニミスの見直し等を検討
- 全ての先進国は特に実施の分野において技術支援を強化
<平和条項>
- 「平和条項」の継続は、農業協定の特別な性格の合理的かつ必然的な結論
ケアンズ・グループ
輸出競争(G/AG/NG/W/11)
- すべての農産品についてのあらゆる形態の輸出補助金の撤廃・禁止
- 実施期間の初年度における大幅な削減(50%以上)
国内支持(G/AG/NG/W/35)
- 助成合計量(AMS)と「青」の政策を含む貿易/生産歪曲的な支持の大幅な削減
- 途上国の食料安全保障、農村地域開発等のための配慮、支援等
- 実施期間の初年度における貿易/生産歪曲的な支持の大幅な削減(50%以上)
市場アクセス(G/AG/NG/W/54)
- 全品目の関税の大幅引き下げ、タリフ・エスカレーションの撤廃、最高税率の設定
- 全ての関税割当品目の割当枠の拡大、割当の規律強化
- SSGの廃止(途上国は維持)
- 実施期間の初年度に以下を行う
[1]UR合意と同じペースで引き下げたと仮定した税率への関税引き下げ
[2]UR合意と同じペースで拡大したと仮定した数量へのアクセス機会の拡大 - 全ての途上国産品についての大幅な関税引き下げ又は撤廃
- 途上国産品にアクセス機会を与えるための関税割当運用の規律設定
輸出規制・輸出税(G/AG/NG/W/93)
- 輸出規制・輸出税についての規律改善とタリフ・エスカレーションの撤廃
- 途上国の正当なニーズに沿うため、適切なS&D規定を設定
カナダ
市場アクセス(G/AG/NG/W/12)
- フォーミュラ方式による関税水準の大幅引き下げ
- タリフエスカレーションの撤廃
- タリフピークの関税割当化によるアクセス改善
- 関税割当に関する規律の改善(例:枠内税率の無税化、関税割当の増加)
- 油糧種子、大麦等特定分野についての関税相互撤廃
国内支持(G/AG/NG/W/92)
- 全ての形態の支持(「緑」、「青」、「黄」)の総量制限
- 農業協定付属書2に適合する国内支持は相殺措置の対象から恒久的に除外
韓国
農業交渉提案(G/AG/NG/W/98)
<交渉のガイドライン>
- 交渉は、十分幅の広い議題を持つ一括受諾方式のラウンドの一部として実施
- 柔軟で漸進的なアプローチで、農業の多面的機能を含む非貿易的関心事項及び途上国の特別かつ異なる扱いについての規定の見直し
<市場アクセス>
- 関税引下げは、UR約束の最終譲許税率をベース、様々なタイプの関税を維持、漸進的で最小の関税引下げが適切、分野別自由化は不適切
- 関税割当は、各国の個別の事情を反映して柔軟な運用。透明性の向上
- 腐敗しやすい又は季節性の高い産品のセーフガード措置に関して特別の基準と手続きの確立。特別セーフガード(SSG)の維持
<国内支持>
- 「黄」「青」「緑」の政策の枠組みの維持、「緑」の政策の範囲と基準の柔軟化
- 国内支持水準は全品目を統合した形で漸進的に削減
- 農業の多面的機能に対する補償としての支持、所得セーフティ・ネットのための支持等を削減対象から免除
<輸出競争>
- 輸出補助金削減と輸出信用に関する規定の確立に加え、恣意的な輸出制限や輸出禁止の禁止、輸出税の使用禁止、輸出国家貿易の透明性確保等
<途上国に対する特別かつ異なる扱い>
- 市場アクセス:基本食品作物に対する特別な考慮、国境措置に関する柔軟性の付与
- 国内支持:削減約束の軽減、「緑」の政策について追加的な柔軟性
- 輸出競争:削減約束から免除される輸出補助金の範囲の拡大、輸出補助金の削減約束の軽減、途上国の輸出関連措置に関する規律の確立
- その他:食料援助、財政・技術支援の増大
<新課題>
- 食品の安全性や品質、GMO、予防的措置について、交渉の中で対処
ノルウェー
農業交渉提案(G/AG/NG/W/101)
<一般的原則>
- 農業の持つ多面的機能に対する特別な扱いを継続、多様な農業の共存を確保
<市場アクセス>
- 主要農産物についての関税削減は限定的に行う(途上国の関心品目を特に配慮)
- MA枠についてのモダリティーは、その拡大が食料自給率が低く、産品が限られた国における主要農産物の国内生産に対して影響度が高いことを考慮に入れて策定
- 関税割当は、透明性・公平性をもって、また途上国が不利にならない方法で運用
- 特別セーフガード(SSG)を存続
<国内支持>
- AMSは国内市場向け農業生産への国内支持と、輸出向け農業生産への国内支持の2つにわけ、前者は緩やかな削減約束によって規律、後者はより一層の削減を図る
- 「青」の政策、「緑」の政策は維持
<輸出競争>
- 全ての形態の輸出競争措置についてより厳しい規律が必要
<途上国への特別かつ異なる待遇>
- LDC産品の市場アクセス改善、現行関税割当の特恵的割当
- SSG規定の適用権利を現在この権利を有しないすべての途上国に拡大
- デミニミス水準は、途上国の場合は引上げ
<その他>
- 平和条項を維持
スイス
農業交渉提案(G/AG/NG/W/94)
<非貿易的関心事項・多面的機能>
- 各国は、その歴史・地理・文化を背景に政策目的を設定する権利があり、農産物交渉が非貿易的関心事項の利益を予断してはならない
- 交渉は、各国政策の目的ではなく、条件について行われるべき
<途上国への特別かつ異なる待遇>
- 全ての国に対し非貿易的関心事項のための政策措置を提供するシステムを作成
<農業政策に関連する他の目的>
- 地理的表示、技術に関する規則、環境、予防原則について適当な場で対処
<新たな約束>
- 農業の多面的機能を維持するためのルールの明確化
- 平和条項の延長
1.市場アクセス
- 農産物関税削減はリクエスト・オファーをベース
- 関税割当方法の選択は各国の裁量に任されるべき
- SSGの基準期間を直近3年間とし、追加関税のシステムを単純化
2.国内支持
- まずは非貿易的関心事項のための政策措置について原則合意(政策措置は透明で、特定的で、的を絞ったものであることが必要)
- AMSはその総体について譲許水準からの削減を交渉
3.輸出競争
- 輸出制限を全て撤廃するとともに、全ての輸出税をゼロで譲許
- 食料援助の規律強化(食料援助は原則贈与のみ)
モーリシャス
農業交渉提案(G/AG/NG/W/96)
<非貿易的関心事項>
- 食料安全保障、農村地域開発、環境保護等の問題は、先進国、途上国共通の課題
<食料安全保障>
- 画一的アプローチでは食料安全保障に対処できす、各国の特殊性が考慮される必要
<特別のかつ異なる待遇>
- S&Dは、従来のような約束実施期間の延長に加え、構造的問題に対処すべき
<市場アクセス>
- 特定のセンシティブな品目については、約束の対象から除外
- 過去の特恵貿易協定は維持。関税削減に際しては、枠内税率と枠外税率に相当の差を確保。TRQ運用の見直しはSIDS等に対する現行の市場アクセス維持が前提
- 特別セーフガード(SSG)は維持
<国内支持>
- 特定のセンシティブな産品は削減対象から除外、約束は分野毎に行う
<輸出競争>
- 輸出競争措置は少数の農産品の輸出に依存している国の食料調達に貢献する場合があり、慎重かつ現実的な対処が必要
<国家貿易企業>
- 国家貿易企業が小規模な市場において果たしている重要な役割を考慮すべき
<平和条項>
- 平和条項は維持・拡充
ポーランド
農業交渉提案(G/AG/NG/W/103)
<輸出補助金>
- 全ての形態の輸出補助を譲許、輸出補助金の更なる削減
<国内支持>
- UR時のフォーミュラに従った、譲許水準からのAMS削減
- 「青」の政策を導入、維持する権利の確保
<市場アクセス>
- 現行のカレント・アクセス、ミニマム・アクセス枠へのアクセスの改善
- TRQの未消化分については関税を50%削減
- 特別セーフガード(SSG)については交渉しない
<非貿易的関心事項>
- 農業が有する機能を認識し、約束の実施に際して柔軟性を付与
インド
食料安保、市場アクセス、国内支持、及び輸出競争(G/AG/NG/W/102)
<食料安全保障>
- 途上国では、食料への物理的アクセスはある一定の最低限の自給によってのみ確保
- 途上国のための「食料安全保障ボックス」を創設
<市場アクセス>
- 先進国のタリフ・ピーク、タリフ・エスカレーションを含む、すべての関税率の大幅な引下げ。先進国は2001年末までに、現在の関税率を50%削減
- S&D措置として、途上国について適切な水準の関税の維持を許容。
- 途上国のための別のセーフガードの導入
- 関税割当制度は将来的に廃止。関税割当運用の透明性向上
- 途上国は、ミニマム・アクセス義務免除。付属書5Aの特例措置は撤廃
<国内支持>
- 付属書2の直接支払、生産に関連しない収入支持、収入保険及び収入保証及び協定6条5(生産制限計画による直接支払)は削減対象とする
- 国内支持の総計を、先進国については3年以内に、途上国については5年以内にデミニミス水準以下に削減。先進国は、2001年末までに、2000年の国内支持レベルの50%もしくはデミニミス水準を超える部分を削減
- 個別品目に対する助成はデミニミス水準の2倍を超えてはならない
- 途上国が行う、貧困の軽減、農村開発、農村雇用、農業生産の多様化のための全ての施策は、いかなる形態の削減約束からも除外
<輸出競争>
- 輸出補助金は、補助金支出、補助輸出量ともに、実施期間の最初の2年間で撤廃。先進国は、2001年末までに、2000年の補助金支出、補助輸出量レベルの50%をそれぞれ削減
- 使用されなかった輸出補助金の「ロールオーバー」は禁止
- 先進国が行うすべての形態の輸出補助は、輸出補助金に適用される規律の下に置く
ASEAN諸国
途上国の特別かつ異なる待遇(G/AG/NG/W/55)
<輸出補助金>
- 先進国による全ての形態の輸出補助金の即時撤廃
- 途上国は輸出補助金の使用に関し柔軟性を維持
- 現行協定の実施期間中に輸出信用に関する規律を策定
<国内支持>
- 助成合計量及び個別の助成について、基準期間からの前倒しで絶対額での削減を約束した上で、残りのAMSは最終的に撤廃
- 削減は、総額ではなく個別に約束
- 「青」の政策を大幅に削減し、最終的に撤廃
- 「緑」の政策の要件の厳格化、上限設定
<途上国>
- 途上国の農村開発に係る措置は引き続き削減対象外
- デミニミスは途上国のみに適用
- 食料安全保障のための施策に柔軟性付与
<市場アクセス>
- 先進国の関税の大幅引き下げ
- 熱帯産品に係るタリフ・ピーク、タリフ・エスカレーションの撤廃
- 途上国はSSGを維持
- GSP(一般特恵関税)原則の維持
エジプト
包括的農業交渉提案(G/AG/NG/W/107)
<市場アクセス>
- 農産物関税の大幅引下げ、タリフ・エスカレーション、タリフ・ピーク、関税格差の撤廃
- 関税割当についての規律強化、透明性向上。割当は個別品目毎。
- SSGについて、その撤廃を視野に入れた規律見直し
<国内支持>
- 先進国が行う支持の、全てのボックスについて大幅削減。歪曲性の観点からの付属書2の見直し。
- 平和条項の見直し
<輸出補助金>
- 全ての形態の輸出補助の段階的撤廃
<食料純輸入途上国及び後発開発途上国>
- NFIDC及びLDCに係るマラケシュ決定の強化
- NFIDC及びLDCに対する技術的、財政的援助の増加。食料輸入の割引のための基金創設。
<特別のかつ異なる待遇>
- 途上国の関税引下げは譲許税率を基準
- WTOの下での農産物貿易の更なる自由化の影響について研究
- 「緑」の政策の中での途上国の国内支持増大に柔軟性付与
カリブ共同体(カリコム)
市場アクセス(G/AG/NG/W/100)
- フォーミュラ方式による途上国輸出関心品目についての先進国譲許税率の大幅削減
- 先進国は国内支持水準及び関税水準のより一層の削減にコミット
- 特恵的市場アクセスを、安定的で透明性・予見性の高いものとするよう追求
- 小規模途上国に対しては関税削減の免除を含む異なるモダリティーを適用
- 関税構造の単純化、透明性向上(途上国は移行期間が許されるべき)
- 関税割当運用のより厳格な規律と透明性の向上(途上国の市場アクセス機会は堅持)
- 途上国に対する技術支援基金の設立、先進国による技術支援供与のコミット
南米諸国(メルコスール4ヶ国+2)
国家貿易企業(G/AG/NG/W/104)
- 加盟国は、農業交渉の一部として、市場に対する歪曲的効果を避ける観点から、独占的輸入/輸出権限を享受している政府の又は非政府の企業の活動について規律を設けることに合意する
インド、ナイジェリア等12途上国
市場アクセス(G/AG/NG/W/37)
- 先進国のタリフピーク、タリフエスカレーション、可変関税、従量税の廃止
- 先進国のセンシティブ品目が更なる保護を与えられないような関税の引き下げ
- 先進国の関税構造の透明化、単純化
- 先進国の関税割当運用の単純化、透明化、消化義務化
- 先進国のSPS関連措置に関し、途上国が直面する困難を解決
- 先進国における全ての形態の輸出補助金の撤廃。先進国の国内支持の大幅削減
パキスタン、ケニア等11途上国
途上国への特別かつ異なる待遇(G/AG/NG/W/13)
- 以下を目的とした「開発ボックス」の創設
途上国の国内生産能力の保護及び向上
食料安全保障及び特に最貧層に対する食料入手の確保
農村の貧困層への雇用の提供及び確保
小規模農家への支援の柔軟性 等 - 先進国の特別セーフガードの廃止
- 先進国におけるすべての形態の輸出補助金の禁止
国内支持(G/AG/NG/W/14)
- 国内支持のカテゴリーを「一般補助金ボックス」に一本化し、農業生産の一定比率以上は先進国は禁止、途上国には「開発ボックス」等で柔軟性を与える
- 途上国の農村雇用、食料安全保障への関心に取り組むため、「開発ボックス」により、輸入管理、関税障壁、国内支持に関し、柔軟性を与えるべき
- 「緑」及び「青」の施策を保護する平和条項の速やかな廃止。平和条項は、途上国の「一般的支持」及び「開発ボックス」のみを保護すべき
ハンガリー・チェッコ等移行経済国12ヶ国
国内支持(G/AG/NG/W/56)
- 移行経済国に適用する特別の条項を農業協定に置く
農業一般を対象とする投資に係る助成、投入財に係る助成及び利子補給に係る助成を削減対象から除外
デミニミス・レベルの引き上げ - 当該条項は、対象国の農業セクターが直面する問題が継続する限りにおいて適用される
ハンガリー・チェッコ等移行経済国11ヶ国
市場アクセス(G/AG/NG/W/57)
- 移行経済国に適用する特定の柔軟性に関する条項を、関税引き下げその他の市場アクセスに関する交渉のガイドライン、モダリティに置く
低関税を削減対象から除外
選択的削減約束の考慮 - 関税引き下げその他の市場アクセスに関する交渉のガイドライン、モダリティは、輸入を妨げ、国内産品に保護を与える全ての非関税措置について取り上げる
小規模島しょ途上国(SIDS)(6ヶ国)
農業交渉提案(G/AG/NG/W/99)
<市場アクセス>
- 途上国、特にSIDSに対して与えられている農業分野の特恵措置の改善、譲許
- ミニマム・アクセス増加の一定割合がSIDSに無税で割り当てられることを確保
<食料安全保障の欠如>
- LDC、NFIDC及びその他途上国における小規模農家は、輸入増加から保護される必要
- 「改革計画がLDCs及びNFIDCに与えうる悪影響に関する措置についての閣僚決定」に関し、財政的、技術的支援の規定を運用しやすくするための別のメカニズムを形成
<貿易自由化の程度の不公平>
- SIDSはより一層の助成・保護の削減を免除
- SIDSは国内支持においてより高いデミニミス水準が許されるべき
モロッコ
農業交渉提案(G/AG/NG/W/105)
<市場アクセス>
- 先進国による迅速で大幅な関税削減
- 途上国の実施期間を延長。先進国・途上国間で現行実施期間よりも大きな格差を設ける
- 途上国のセーフガード発動要件に柔軟性を付与
<国内支持>
- 緑の政策について再定義、悪影響を有する場合は上限を設定
- S&Dボックスについて、途上国の特殊条件を考慮した新た規定を設ける
- 先進国の場合、AMSは初年度に10%削減。また、その後の実施期間中も最終的にはAMSを撤廃することを視野に入れて大幅に削減。更にデミニミスは撤廃又は半減
- 途上国の場合、AMS水準を増加、少なくともAMS削減約束は不要
- 青の国内支持は5年間で撤廃
<輸出補助金>
- 長期的には輸出補助金は撤廃
- 産品特定的輸出補助金は制限
<非貿易的関心事項>
- 先進国側出資による多面的機能のための基金を、先進国・途上国の協調により設立
<その他>
- ダンピングによる損害を補償する措置の導入
トルコ
農業交渉提案(G/AG/NG/W/106)
<市場アクセス>
- 先進国による、途上国の輸出関心品目関税の大幅削減
- タリフ・エスカレーション及びタリフ・ピークは撤廃。全ての関税を従量税に変換
- 現行SSGの撤廃、又はこの恩恵に授かっていなかった国々のための新たなSSGの導入
- 関税割当の漸進的撤廃
<国内支持>
- デミニミス水準を超える国内支持は大幅に削減又は撤廃。途上国のデミニミス水準は拡大
- 途上国の開発目的の国内支持は、引き続き削減約束から除外
- 緑の政策の明確な定義とルールの設定
<輸出競争>
- 先進国による輸出補助金の撤廃又は大幅削減
- 食料援助はできる限り贈与ベースとすべき
- 輸出信用をWTOの枠組みに入れるべき
- 平和条項は不要
- 非貿易的関心事項について交渉の中で議論・分析すべき。ただし先進国が一層の自由化を免れるために用いられるべきでない
スワジランド
小規模途上国へのS&D待遇下での市場アクセス(G/AG/NG/W/95)
- 現行の特恵的措置は現行ラウンドにおいて保護されるべき
- 小規模途上国を国内農業生産に脅威を与える輸入品から保護する規定が必要
- タリフ・エスカレーションの削減
- 先進国における助成措置の削減は、小規模途上国の発展がとん挫することがないよう、柔軟的に、独創的に、また革新的に追求されるべき
- 他の途上国に対するS&Dが小規模途上国に不利に作用してはならない
マリ
農業交渉提案(G/AG/NG/W/99)
- LDC原産の果実及び野菜、赤肉及び牛、家畜生産品及び食肉、皮革、綿花への無税によるアクセス供与
- 果実及び野菜に対する輸出補助金の即時撤廃
- コメに対する輸出補助金を2001~2010年の間撤廃、当該分野への助成措置を2001~2010年の間実施
- 国際市場におけるLDCの国家貿易企業の運営についての権利維持
これまでにWTOへ提出された各国の農業交渉に関する提案の詳細[外部リンク]
お問合せ先
輸出・国際局国際経済課WTO・ルール班
ダイヤルイン:03-3502-8057




