漁業経営の再建整備を図ろうとする沿岸漁業者に対する沿岸漁業経営安定資金の融通について
55水漁第3316号
昭和55年7月15日
最終改正:平成17年4月1日 16水漁第2628号
農林漁業金融公庫総裁あて
農林中央金庫代表理事理事長あて
全国漁業協同組合連合会代表理事会長あて
都道府県知事あて
農林水産事務次官
漁業経営の再建整備を図ろうとする沿岸漁業者に対する沿岸漁業経営安定資金の融通措置実施要綱
第1 趣旨
最近における国際規制の強化、漁場環境の悪化等沿岸漁業をめぐる生産条件の著しい変化により、漁業経営に対する意欲と能力を有しているにもかかわらず、漁業経営の維持継続が困難となる者が出現し、沿岸漁業の健全な発展を図る上からこのまま放置できない事態が生じている。
このような状況に対処して、安定的な漁業経営の確立を図るためには、地域の実情に応じた業種の転換、経営の合理化等による漁業経営の再建整備が必要である。
このため、業種の転換、経営の合理化等により漁業経営の再建整備を図ろうとする沿岸漁業者に対して、その阻害となっている既存債務の整理及び経営再建整備期間内の漁業経営の再建整備に必要な資金につき農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)の沿岸漁業経営安定資金を融通する措置を講じ、もって沿岸漁業者の漁業経営の安定を図ろうとするものである。
第2 貸付対象者
貸付対象者は、次の(1)から(3)までの要件を備えた沿岸漁業者で第5に定めるところにより都道府県知事の認定を受けたものとする。
(1)業種の転換、経営の合理化等によっておおむね3年以内に漁業経営の再建整備が図られる見込みのあると認められるもの
(2)漁業協同組合の組合員たる資格を有する者であって、次に掲げるもの
ア 沿岸漁業を営む個人(以下「個人」という。)にあってはその者の平年度の総所得のうち漁業所得が過半を占めるもの
イ 沿岸漁業を営む法人(漁業生産組合、合名会社、合資会社、有限会社及び株式会社に限る。以下「法人」という。)のうち、漁船漁業を営む者にあっては総トン数20トン未満の動力船を使用して漁業を営むもの、漁船漁業以外の漁業を営む者にあってはその者の平年度の総事業収入のうち沿岸漁業による事業収入が過半を占めるもの
(3)個人にあってはその者(その者が60歳以上である場合には、その後継者)が現に主として沿岸漁業に従事しており、かつ、将来ともその見込みがあると認められるもの
第3 貸付対象の範囲
(1)負債の軽減措置については、極力関係金融機関等の協力による貸付条件の緩和等により措置するものとし、沿岸漁業経営安定資金による借替措置は他に適当な方法がない場合とする。
(2)漁業経営の再建整備の対象となる経費は、漁業用燃油、餌料、養殖用種苗、漁具その他資材の取得、養殖施設の設置等の漁業経営の再建整備上不可欠な経費とする。ただし、他の制度資金によることができる場合は、貸付けの対象としないものとする。
第4 貸付金の限度額
1 沿岸漁業経営安定資金の貸付限度額は、個人にあっては1人当たり750万円、法人にあっては1経営体当たり1,500万円とする。ただし、都道府県知事が次に掲げる要件のすべてに該当すると認定した沿岸漁業者については、個人にあっては1人当たり1,500万円、法人にあっては1経営体当たり3,000万円(漁船漁業者のうち総トン数5トン以上の動力船を使用して漁業を営む者又は養殖業等漁船漁業以外の漁業を営む者のうち都道府県知事が総トン数5トン以上の動力船を使用して漁業を営む漁船漁業者に相当する経営規模を有すると認定した漁業者については、個人にあっては3,500万円、法人にあっては4,500万円)とする。
(1)漁業生産基盤等の整備(強い水産業づくり交付金実施要綱(平成17年4月1日付け16水港第3235号農林水産事務次官依命通知)の別表経営構造改善目標の項メニューの欄に掲げる漁業生産基盤等の整備に該当するものを言う。(2)において同じ。)が実施されている市町村の区域内に住所を有する沿岸漁業者であって、その者の漁業経営規模又は漁業所得規模が当該市町村の区域内の沿岸漁業者(個人にあっては平年度の総所得のうち漁業所得が過半を占めるものであって、経営主(その者が60歳以上である場合は、その後継者)が現に主として沿岸漁業に従事しており、かつ、将来ともその見込みがあると認められるもの、法人のうち、漁船漁業を営む者にあっては総トン数20トン未満の動力船を使用して漁業を営むもの、漁船漁業以外の漁業を営む者にあっては平年度の総事業収入のうち沿岸漁業による事業収入が過半を占めるものに限る。)の漁業経営規模又は漁業所得規模の平均以上であること。
(2)第5に定めるところによる漁業経営再建整備計画(以下「再建整備計画」という。)が漁業生産基盤等の整備に即して業種の転換、経営の合理化等を図ろうとするものであって、かつ、次の要件のいずれかに該当するものであること。
ア 未利用資源又は未利用漁場の開発を図る計画であるもの
イ 高度な漁業技術の導入を図る計画であるもの
ウ 基幹となっている漁業種類の相当部分を転換し、資源の培養又は適切な管理を行う漁業の推進を図る計画であるもの
2 1の貸付限度額は、他の沿岸漁業経営安定資金とは通算しないものとする。
第5 再建整備計画の認定等
(1)沿岸漁業経営安定資金の貸付けを受けようとする者(以下「申請者」という。)は、次に掲げる事項を明らかにした再建整備計画を作成し、申請者が所属する漁業協同組合の長又は市町村長(以下「所属組合長等」という。)の確認を受けた上、所属組合長等を経由して、その計画が適当である旨の認定を受けるものとする。
ア 経営再建整備を必要とする理由
イ 漁業経営の現況
ウ 経営再建整備の内容
エ 必要資金の調達及び償還計画
オ その他
(2)都道府県知事は、所属組合長等から再建整備計画の提出があったときは、次の要件のすべてに適合すると認めたときに認定を行うものとする。
ア 申請者が第2の(1)から(3)での要件を備えたものであること。
イ 再建整備計画が適正であり、申請者がこれを達成する見込みが確実であること。
ウ 申請者が再建整備計画を達成するためには、当該貸付けを受けることが必要であって、他に適当な方法がないこと。
(3)都道府県知事は、再建整備計画の認定を行ったときは、その旨を所属組合長等を経由して申請者に通知するとともに、その結果を公庫(公庫の受託金融機関を含む。)に通知するものとする。
第6 指導
都道府県知事は、沿岸漁業経営安定資金の貸付けを受けた者に対し、その再建整備計画の達成につき、適切な指導助言を行うものとする。
第7 その他
本措置の運用につき必要な事項については、水産庁長官が別に定めるところによるものとする。




